軽自動車でバンライフできる?|エブリイ・アトレー(ハイゼット)・N-VAN比較

アウトドアブームの中で、近年とくに注目度が高いバンライフ。バンライフは単なる遊び方の一つとしてではなく、ライフスタイルそのものを表す単語として浸透し始めるなど、大きく広がりを見せています。

バンライフを始めるのにあたり、車種で悩む人は多いのではないでしょうか。車種選びで気になることといえば、そう、予算ですよね。ちょっと趣味で始めてみたい、と思ってもハイエースあたり結構高額で、人気グレードのディーゼルエンジンなど400万円くらいします。

そこで気になってくるのが軽自動車です。趣味で手を出しやすい価格帯であることはもちろん、近年は走行性能やデザインも普通車と遜色ないほどのレベルになっていて日常使いでも活躍する軽自動車。軽自動車ならば趣味として気軽にバンライフを始められそうですよね。

でも、軽自動車でバンライフすることって難しくはないのでしょうか?コンパクトなボディが特徴の軽自動車、快適に車内で過ごすことはできるのでしょうか?当記事では5ナンバーのバンと軽バン両方でバンライフしている私自身が、経験をもとに軽バンでのバンライフについてお伝えしていきます。また、記事後半では候補になるであろう軽バン3車種、エブリイ・アトレー(ハイゼット)・N-VANの比較もしていきます。

軽自動車でバンライフは余裕で可能

最初に、この記事で登場するバンライフという単語について、どのような意味で使用するか明確にします。当記事での「バンライフ」は、本来の意味である”バンでの長期生活”ではなく”旅行やアクティビティの一環”として〜1か月程度の期間行うバンライフを指すものとして使用します。本当に長期間、仕事や生活、アクティビティを全てバンだけで完結させたい、という方は大型車両の方が適しているのでご注意ください。

結論から言うと、軽自動車でバンライフは余裕で可能です。ハイエースやイケてる外車などに散財しなくても、快適でオシャレなバンライフは実現できるのです。

私がコンパクトカーでバンライフを始めたのは、免許取り立ての18歳の頃です。途中で軽自動車に乗り換え、1回あたり〜2ヶ月程度のバンライフを、かれこれ15年以上・走行距離30万kmもライフワークとして行ってきました。その経験からして、日本国内でバンライフをするなら軽自動車がベストな選択肢だと思っています。

十分に快適な空間を確保できるなら、車両は小さく・安い方が良いに決まっていますよね。

日本各地を旅行していると実感するのですが、日本の田舎道って本当に狭いんです。都市圏から簡単にアクセスできるエリアは開発されていて走りやすいのですが、紀伊半島や四国、九州あたりの”本当の田舎”の道の狭さは半端じゃありません。軽自動車専用道路、みたいな車幅の道路がいくらでもあります。

バンライフを始めることであなたの行動範囲は飛躍的に広がります。これまで観光地や宿泊地が中心だった行動範囲は、本当の田舎や大自然の中へと広がっていきます。そうなってきたときに「この道、狭いからちょっと・・・」と躊躇するようなことがあっては非常に勿体ないです。思い通りの場所に行けることこそバンライフの魅力。つまり軽自動車のように、どんな狭い道でも快適にドライブできる車こそがバンライフには最適なのです。

それでは、具体的に軽自動車でバンライフをするための条件を確認していきましょう。

就寝に必要なスペースから車種を逆算する

必要な車内スペース:長さ190×幅120×高さ110(cm)

バンライフに必要な車内スペースはおおよそ【長さ190×幅120×高さ110(cm)】くらいといえるでしょう。このくらいのスペースがあれば、快適に長時間過ごすことができます。人間の体の大きさを参考にこの数値の根拠を補強してみましょう。

必要な長さ

長さの基準は身長です。たとえば170cmの人が横になる場合に必要なスペースは、185cmくらいです。身長よりも長めな理由は、ピッタリすぎるとつま先や髪が当たってしまい、気になるからです。そのため、大半の人が快適に寝られるスペースとなると190cmくらいが基準になるのです。

必要な幅

幅の基準は肩幅です。家庭用ベッドの幅がセミダブルで120cm、ダブルで140mということからもわかるように、大人二人が横になったときに肩が触れ合わずに快適に過ごせる幅は120cm〜くらいが基準と言えるでしょう。

必要な高さ

高さの基準は座高です。身長170cmの成人の平均的な座高は90~95cm程度です。頭上空間が少なすぎると窮屈なので若干余裕を持たせた寸法が110cmくらいということになります。

詳細は以下の記事で紹介しているので割愛しますが、気になる方はチェックしてください。

バンライフを始めるための、最適な車種の選び方

軽バンなら十分なスペースが確保できる

長さ190×幅120×高さ110(cm)というサイズ、結構広大なスペースに感じるかもしれませんが、いわゆる軽バン、商用車として利用される軽自動車の一部ならこのサイズの、しかも完全にフラットな空間が確保できるんです。

軽バンは貨物車扱いですが、車検は2年に1回、重量税は5000円/年だと知っていますか?

普通貨物車の車検が1年に1回なので軽貨物車(軽バン)も同じだと思っている方が意外と多いのですが、軽貨物車は1回目の車検タイミングが2年目(通常は3年目)なのですがそれ以降は普通車と同じ2年に1回となります。

オススメ車種

軽自動車でバンライフするなら軽バンが最適だと分かったところで、おすすめランキングです。とはいっても現行モデルは実質3車種しかなく、それぞれに魅力がありますので、あくまでも相対評価になります。

1位(同率一位):エブリイ|SUZUKI

出展:SUZUKI

少し前まではハイゼットよりも断然広い室内を誇り、確固たるナンバーワンの座を築いていたエブリイですが、2021年のハイゼットのフルモデルチェンジに伴い同率一位に変更しました。

ハイゼットよりも10万円ほどリーズナブルな価格や、豊富なカスタムパーツなどは、エブリイならではの利点です。

ハイゼットと比較して、MTモデルの燃費に優れ、逆にATモデルの燃費は若干劣ります(WLTCモード)。ATモデルでも郊外モードに限るとエブリイの方が燃費が良いなど、バンライフのメインとなるフィールドではハイゼットと大差ないといえるでしょう。

エブリイにはワゴンモデルもありますが、後部座席や内装の内張りなど、荷室を圧迫する形状の装備が多く、バンライフ用のベース車両としてはあまりお勧めできません。

唯一の難点はターボエンジンの選択肢がないことで、高速道路での長距離移動や急な峠道などは苦手としています。

1位(同率一位):アトレー(ハイゼット)|DAIHATSU

出典:DAIHATSU

先代モデルはスペース効率をはじめ様々な点でエブリイの後塵を拝していましたが、2021年のフルモデルチェンジに伴い同率一位に格上げです。

ハイゼットは商用車、アトレーは乗用車として棲み分けがなされているかと思いきや、乗用車であるはずのアトレーまでもペラペラの後部座席を採用することでフルフラットになったり、後席の窓を固定化(アトレーは若干窓が開きます)してまで車内空間を稼いだりと、かなり割り切った設計をしています。

フルモデルチェンジでエブリイと瓜二つのデザインと性能を獲得。これまでの弱点だった車内空間を拡張し、エブリイと同等の居住性を手に入れました。

エブリイ vs アトレー(ハイゼット)の比較

従来はエブリイの方がアトレー(ハイゼット)よりもバンライフ向きだったのですが、2021年のアトレー(ハイゼット) フルモデルチェンジに伴い、甲乙つけがたくなりました。それでも違いはありますので、車両選びの基準になりそうな、比較検討ポイントを列挙します。

アトレー(ハイゼット)は後席の窓開閉に制約がある代わりに、エブリイよりも若干室内幅が広くなっていますが、かなり微妙な差で、基本的に室内スペースに大差はありません。

エブリイが優れている点

1.後席の窓

1番の利点は後席の窓がしっかりと開くことでしょう。手回し式の開閉機構はエンジンを切った状態で長時間過ごすバンライフにはむしろ美点といえます。開口部面積を稼ぎたい夏場の換気などで活躍します。(※ 後部窓について|ハイゼット:固定|アトレー:バックル式)

2.価格

ハイゼットよりも全体的に10万円ほど価格が安いのも良いですね。車両本体価格が安いので10万円といえど6%程度の価格差ということになります。結構大きな差と言えるでしょう。

3.カスタムパーツの豊富さ

カスタムパーツの豊富さはエブリイの圧勝です。しかし、今後時間の経過とともにハイゼット・アトレーも様々なパーツが開発されていきますので、ここ数年限りの優位性といえます。

アトレー(ハイゼット)が優れている点

1.ターボモデルの存在

アトレー(ハイゼット)にはエブリイには無いターボモデルが存在します。高速道路での長距離移動や急な峠道では結構な優位性です。

2.ACC(アダプティブクルーズコントロール)

アトレー限定にはなりますがACCが装着されているのは遠出派のバンライファーには有難いです。

3.パワースライドドア

一部グレードにパワースライドドア(イージークローザー)が設定されました。

4.4WDオート

スタンバイ式とパートタイム式の良いとこどりができる4WDを装備していて、エブリイ同等の4WDロックと、N-VAN同等の4WDオートを切り替えることができます。雪と舗装路が交互に出てくる道などでは、従来のパートタイム4WDは頻繁にスイッチ切り替えが必要でしたが、4WDオートのまま走行できるのは良いですね。

3位:N-VAN|HONDA

出展:HONDA

大人気のN-VANですが残念ながら最下位です!

最下位にした最大の理由は、二人で就寝できないから。助手席側こそ263cmの長さがありますが、運転席側は158.5cmしかなく、低床フロアの弊害で3車種の中で唯一ホイールハウスが車内に出っ張っているなど、バンライフというジャンルでは輝きにくい車種です。加えて後部座席の窓がほとんど開かないために換気が難しく、車内での調理や夏場の就寝に向いていない点もマイナスポイントです。

Honda SENSINGのオプションでアダプティブクルーズコントロールを選択できるのが最大の差別化ポイントだったのですが、新型アトレーの登場によりその優位性も消失してしまいました。

ただ、デザイン重視のユーザーから支持を集めているのも事実で、さすがHONDAの際量販車種、といえるだけのデザインのまとまりです。むしろデザイン以外ではバンライフ用に選ぶ理由が見つからない車両です。

軽バン以外の軽自動車でバンライフできる?

軽バンでバンライフできることは分かりましたが、その他の軽自動車はどうでしょうか?

正直なところ、あまりオススメできません。軽バン以外の軽自動車の車内で、長時間快適に過ごすのは快適とはいえないからです。

これは、「車内で長時間くつろぐことができるか?」と言い換えることもできます。くつろぐ時って、だいたい座っていますよね。特に、バンライフとなると食事も車内で食べることが多くなります。食器や調理器具などを置いて、さらに大人2人が快適にくつろげる軽自動車となると軽バンしか選択肢がありません。

私自身、ハスラー|SUZUKI発売時に購入し、車中泊旅行で使用していたことがありますが、寝るだけなら問題なくても(フルフラットにはならない)、車内でくつろごうとは思いませんでした。当時は20台前半、仕事に忙殺され時間も限られていましたので、旅行といえば弾丸ツアーでした。日中ヘトヘトになるまで遊び、車で仮眠を取るスタイルであればどんな車種でも問題ないともいえますが、やはり充実した時間を過ごすためにはバンライフの考え方を取り入れ、快適な車内空間を実現する必要があります。

快適な車内空間を実現することで、その場所に留まること自体のハードルが下がり、結果的に旅先の環境を満喫できるようになるのです。

最近は多くの車種がフルフラットになると主張しますが、軽バンのフルフラットは格が違います。一般的な自動車のフルフラットが”大きな段差がない”くらいのイメージだとしたら、軽バンは”完全な平面”という違いがあります。

そのぶんクッション性などは皆無なので、寝る際などは何かしらの工夫が必要ではありますが、荷物の積載・居住スペースなど、活用の幅広さはやはり軽バンの圧勝と言えます。

”車中泊” ならば大体の車種でOK

軽バン以外の軽自動車でバンライフは難しいと書きましたが、車中泊であれば結構余裕です。私も妻と一緒に「ハスラー|SUZUKI」で1週間くらいの車中泊旅行は何度かしましたが、特に問題はありませんでした。

要するにバンライフと車中泊の違いって何?ということになるんですが、私なりの基準はこんな感じです。

積極的にくつろぎたくなる空間を車内に実現できるかどうか。

これを満たせていれば、バンライフ、そうでなければ車中泊というイメージが妥当に思われます。正直なところ、弾丸ツアーであれば車中泊で十分な場合も多いので、実際に自分自身が何を求めているかを重視するのが一番だと思います。

まとめ

軽自動車、中でも軽バンであればバンライフは実現可能ということがお分かりいただけましたか?

普通車も含めた車全体における軽自動車の相対的なポジションの考察も記事にしていますので、興味のある方はチェックしてください。

バンライフを始めるための、最適な車種の選び方

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