バンライフに最適な車の選び方

旅行スタイルとして、アウトドアスタイルとして、さらにはライフスタイルとして近年注目を集めている「バンライフ」。オシャレで自由な雰囲気にあこがれて、始めてみたいと思っている方も多いのでは?

とはいえ実際に始めるにはどうしたら良いのでしょうか。どのくらいコストや手間をかければバンライフは始められるの?という疑問にお答えします。

「車」ならとりあえずOK

2011年|剣山スーパー林道

バンライフという言葉が今ほどありふれていなかった時代、私の最初の相棒はトヨタ・bBというコンパクトカーでした。学生時代で資金もなく、格安の中古車しか買えない制約のなかコンパクトカーの中ではスクエアなボディもあって車内が広いbBを購入しました。

当然、最近の車のようにフルフラットにはなりませんし、コンパクトカーなのでそれほど収納スペースに余裕もありませんが、この車で30連泊以上の旅行を2回しています。そのうち1回は現在の妻と2人で45連泊しました。今になって思えば、この旅行は今で言うところのバンライフとほとんど変わらない価値観に基づくものでした。最小限の荷物だけを持ち、行ったことのない場所で滞在する。知らない文化に触れて今までにない価値観を獲得する、そのための道具はたとえ中古のコンパクトカーだって問題はないのです。

とはいっても30歳になった今、同じことをしようとしたら若干しんどいかも、というのが本音です。しかしながら今も変わらずバンライフこそ至高の旅行スタイルだと信じて疑いません。宿泊場所にとらわれないバンライフでは、綿密なスケジューリングは不要。ノーマークだった道中の場所が素晴らしければ予定変更してダラダラすれば良いのです。翌日は夜明けとともに出発してもいいし、もう1日ダラダラしても構いません。車を停めたら、そのままそこが快適なシェルターになるバンライフのユルさは一度始めたらやめられません。

バンライフに最適な車の選び方

本題のバンライフに最適な車種について。個別の車種としては代表的なものを最後の方で紹介しますが、基本的には判断基準を羅列していきます。この判断基準をもっていれば国産車・外車はもちろん年式やクラスを問わず選べるようになるんじゃないでしょうか。全ての基準を満たせば良いわけではなく、何を重視するかによって判断してください。

居住性編

1.荷室天井の高さ

意外かもしれませんが、荷室天井の高さが最重要項目です。なぜ荷室天井の高さが最重要項目かといえば、室内でくつろぐ際にリラックスできるかどうかに直結するからです。当然、運転席・助手席に座っている限り荷室天井の高さが気になることは無いでしょう。しかしときには荷室で長時間滞在するバンライフにおいて荷室天井の高さは決定的に重要です。

後部座席を利用した専用スペースがあるなど特殊な車種は別として、荷室天井の高さ1,200mmくらいが目安でしょうか。これはローチェアに座った状態で身長182cmの私でも頭上に若干の余裕があるくらいの寸法です。荷室を上下2段に仕切るベッドなどもありますが、寝ている時は別として食事の時やリラックスタイムなどでは快適とはいえないのでご注意を。

なぜこれほど天井の高さを重視するかという理由ですが、「天井の高さ」イコール「滞在の快適性」とした場合、荷室天井の高さを妥協してしまうと、滞在するか否かの判断にバイアスがかかってしまう。バンライフの良さは好きな場所に滞在できることです。美しい景色を見つけたらゆっくりすればいいし、気になるキャンプ場があればそこに泊まれば良い。ときには午前中で行動を打ち切ることもあるでしょう。そのときに滞在の快適性が重要になってきます。積極的に滞在する判断をできるようにするためにも天井の高さは非常に重要なポイントです。

2.荷室長

当たり前かもしれませんが、荷室長も重要です。自分の身長+10cmくらいのサイズがあると快適に寝ることができます。身長ぴったりくらいのサイズになってくると、つま先をピンと立てて寝ることになるので若干の余裕が欲しいところです。

今回、二番目の項目にした理由は、運転席・助手席を利用すれば多くの車種で(フラットでこそないものの)結構快適に寝られるからです。これは私自身bBでバンライフしていた時の経験則です。私が運転席・妻が助手席で椅子を倒して寝ていましたが、45連泊しても全く問題ありませんでした。これは別記事で詳細を書く予定ですが、3連泊くらいすると運転席・助手席であっても熟睡できるようになります。慣れってすごいですよ。

中途半端なフルフラットよりも運転席や助手席の方が快適に寝られる場合も多いです。運転席や助手席で寝れば就寝前の荷物移動も最小限で済むというメリットもあります。

寸法とは少し話がずれますが、バンライフのベース車両として人気のあるバンタイプの車のなかには、グレードにより荷室がフルフラットにならないものがあります。4ナンバー(商用車)ではなく5ナンバー(普通車)登録となるグレードは要注意です。ちなみに軽自動車の場合は4ナンバー(商用車)登録であっても税金は4,000円/年、車検は2年に1度なのでご安心を。

安くて広い軽バンこそ最強の道具。

移動編

1.航続距離

忘れがちですが重要なのが航続距離。目安としては満タンで500km以上の航続距離があればとりあえず安心です。航続距離500kmというと、350~400kmくらい走行したあたりでエンプティーランプが点灯するくらいですが、ガソリンが残り少ない状態で田舎道を走り続けることほど心臓に悪いことはないので、だいたい250kmごとに給油するイメージですね。

バンライフスタイルで旅行する場合、下道ベースでも1日に200~600kmくらい走行することになります。本州や四国の山間部で200km、北海道の郊外で600kmといった感じです。毎日移動する場合、1日に1回給油するのが普通ですが、航続距離500kmを下回る車種の場合、ガソリンスタンドを探して彷徨うことになるかもしれません。

一番怖いのは日曜・祝日定休問題ですね。バンライフを始めると今まで行ったことのない本当の田舎に足を踏み入れることが多くなります。そのような地域ではガソリンスタンドが日曜祝日定休と言うのは当たり前。さらに地域のイベントごとに休んでいたりすることもあります。紀伊半島とか四国の山間部でよくあるのですが150kmに一軒しかないガソリンスタンドが休みの時の絶望感たるや。

ほかにも北海道では下道ベースでも500kmくらいは余裕で移動するので、航続距離に余裕が欲しいところです。1日1回の給油と言うルーティンが確立できないと旅行全体のテンポが悪くなるんですよね。これは旅程が長くなればなるほどストレスになるので重視したいポイントです。

2.ボディサイズ

大きければ快適でしょ!とか短絡的に考えて、フルキャブバンのワイド・ロング・ハイルーフなんか買ってしまうと、ボディサイズのせいで行けない場所が増えてきます。

ざっくりとした判断基準ですが、登山・滝巡り・渓流釣り・秘境探索・野湯巡りなど、このあたりに興味があるならボディサイズは小さいに越したことありません。たとえ車幅2m全長6mだったとしても物理的に通行できない道というのはほとんどありません。しかし、場合によってはギリギリの険道を数時間にわたり走行する可能性があるということは考慮すべきです。軽自動車であればなんとも思わない道でも大型の車両では休憩を挟みながらでないと厳しいハードコースに感じられるというのはよくある話です。

あとは最低地上高も結構重要だと思っています。ランクルやジムニーである必要はありませんが、あまりにも最低地上高が低い車だと、頻繁に落石をどかす忍耐力か、ボディ底面を擦っても動じない鋼の心が必要になってきます。目安は最低高150mmくらいでしょうか。私が学生時代に乗っていたトヨタbBという車がこのサイズでしたが、未舗装林道以外は問題ありませんでした。

オススメの車種

詳細を書き出すとキリがないのでザックリといきます。現行車のみ、サイズは室内サイズ基準です。

極端に身長が高くない限りは中サイズまでで選べば問題なし、目安は185cmくらいでしょうか。それ以上の身長があるとハイエースクラスじゃないと狭いです。各寸法は2名乗車時のものです。

L : 3470mm
W : 1520mm
H : 1320mm
ハイエース 定番車種。工夫など一切不要で快適に旅行できる。ワイド・ロング・ハイルーフは取り回しに難があり要検討。類似車種【NV350キャラバン】
L : 1910mm*1
W : 1385mm
H : 1240mm
エブリイバン より大柄な高級車種よりも荷室寸法が大きい狂気の軽バン。ワゴンタイプはフルフラットにならないので注意。類似車種【ハイゼットカーゴ】
L : 1830mm
W : 1220mm*2
H : 1320mm
NV200バネット ハイエースより安くて、エブリイより高速に強い。意外にも荷室寸法はエブリイの方が広い。
L : 1610mm*3
W : 1505mm
H : 1310mm
 デリカD:5 オフロード系で居住性が良い個性派ミニバン。工夫次第で大柄な成人男性でも快眠できる荷室サイズ。
L : 1952mm
W : 1150mm*2
H : 940mm
プロボックス 荷室長は文句なしだが天井が低いことが難点。その分重心が低くコーナリングや高速走行は安定している。類似車種【ADバン】
L : 2635mm*4
W : 1325mm*2
H : 1365mm
N-VAN 一人用と割り切るなら結構広くて燃費がめちゃくちゃ良い。二人で寝るのは厳しい。
L : 1800mm*5
W : 1300mm
H : 850mm
ジムニー 工夫すればなんとかバンライフできる!かもしれない。アンストッパブルビークル。トコトコとどこまででも行ける。

*1 前席を一番前にスライドした状態
*2 後輪ホイールハウス内寸
*3 荷室長は公式寸法がなく参考値です
*4 助手席側のみ。運転席側は1510mm。
*5 公式寸法がなく実測値。182cmの筆者でもギリギリ寝れる。

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